車谷長吉「赤目四十八瀧心中未遂」

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先に荒戸源次郎監督の映画を見て、それから車谷長吉の原作を読んだ気がする。映画では寺島しのぶがアヤ役を演じていた。

主人公の「私」は普通の会社員生活を捨て、尼崎の木造アパートで毎日、臓物を串刺しにしてわずかな金を得て暮らす。アヤはその吹き溜まりのようなアパートに暮らす朝鮮人で、兄の借金の肩代わりでヤクザに売り飛ばされ、博多で身を売ることになる。

アヤに深入りするなと「私」に忠告する焼き鳥屋の女主人—―映画では大楠道代が演じていた—―の上の言葉は、「男の腐れ金玉が勝手に歌歌い出すほど」という形容が素晴らしい。美女にかかる言葉として「誰もが振り返る」とか「非の打ち所がない」よりずっと扇情的で、男の人が平常心ではいられなくなる感じが伝わってくる。

この本をきっかけにしばらく車谷長吉の著書を読んでみた後、今度は中上健次を読み始め、血と地に縛られた人の物語にますますハマっていった。

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